ひよこ組っ

シニアU世界選手権に出場!
2011年4月30日スペインマヨルカ島で開催されたシニアU世界選手権に
日本代表として出場してまいりました。(224エントリー中47位)


Mallorca Dance Sport Challenge 2011
 

ダンスビュウ8月号97ページに掲載された記事です.

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ワルツを踊りながら泣いていた。

よく、「夢にまで見た〇〇」とか言うけど、ついぞ夢にも思ったことがなかった。

ここはスペイン・マヨルカ島で、そしてシニアU世界選手権のフロアなのだ。

ひよこ組が世界選手権に日本代表で出場するなんて、奇跡のようだった。

そこにいるだけで奇跡のような出来事に、いろんな思いが込み上げて気が付いたら泣きながら踊っていた。

昨年9月に仙台で開催された全日本シニア選手権で決勝にはいってしまった。それだけでもうれしいことだけど、突然

「シニアの決勝入りしたので、もし、二人とも45歳以上ならシニアUの日本代表権をゲットしました!」と言われて、開催場所も日時もわからないのに

「えー!行きます!」と返事していた私。

シニアUはすべて自費だけど、その代表権をゲットするのはひよこにとっては夢のような出来事だったのだ。

 ところが、世界選手権にいくには、飛行機からホテルから予約はすべて自分でしなければいけない。どうしていいのかわからん・・・

海外渡航経験豊富な京都の谷口さんに

「関空までいきますから連れてってくださーい」とすべてお任せしてしまった。

(谷口さんありがとうございました)

 

そして忘れもしないあの日。

3.11の東日本大震災だ。

文字通りまさに天地がひっくりかえるような出来事だった。

被害の少なかった私たちでさえ、とてつもない喪失感に襲われて何も手につかなくなってしまった。

夫は震災翌日から会社に行っていたが、私はひとり現実とは思えないようなテレビの映像を見ては茫然としていた。

夫の両親がいるのは被害が大きかった陸前高田市だ。連絡はつかない。沿岸の友人とも連絡がつかない。 ネットを駆使してみんなの無事を確認できたときもただただ泣いていた。

 

世界選手権のことは、ギリギリまで誰にも言えなかったが、被災した沿岸の友人を我が家で受け入れて、毎日、夫や彼女の世話をしていると不思議と少しずつ元気になっていった。人のために何かをやるというのはエネルギーを生み出すようだ。 

泣いているだけじゃだめだ。

復興するには元気な私たちが普通の生活をしていかないといけない。

スペインの世界選手権にいこう!

「こんなときだからこそ、チャンスをものにしてがんばってきて!」被災した友人が背中を押してくれた。ありがとう!

まだ新幹線は東京まで通っていないけど、飛行機は大阪まで飛んでいる!とにかく出発しよう。今から思えば関空出発にしてほんとうによかった。いろんなことが、私たちをスペインに行かせてくれるように回っているように思えた。

  そして430日世界選手権本番。

競技の前に大谷まり子さんから日の丸に「ありがとう」のメッセージ入りの胸章をいただき、それを燕尾につけながら万感胸に迫る思いがした。

いろんな思いでこの世界選手権に出場できたんだと思ったら、1曲目のワルツで泣けてしまったのだ。

「気持ち込めすぎたらあかんわ。思いはわかるけど、まずはしっかり踊りなさい!」 谷口小夜子さんのゲキが飛ぶ。

そうだ、この1ラウンドで落ちるかもしれないのだ。しっかり踊ろう!

死んでも左肘落としたらあかんよ!

ひでちゃんヴィニーズ回転しすぎ!

アドバイスのすべてが身になっていく。

これが最後、あと1曲と何度も思いながら、気が付いたら4次予選のフロアに立っていた。結果は223組中47位。

3日連続出場して合計10ラウンド、50曲踊った。私たちにとってはまるで夢のようで修行のような競技会だった。

実は一番感動したのは、あのスペインの地で君が代が流れたことだ。

1日目のオープンシニアVで京都の谷口組が優勝したのだ。3位には埼玉の大谷組が入賞。

最終予選で終わったビデオ係の私たちは震えるくらいの感動で涙が止まらない。君が代ってこんなにいい曲だったんだね・・・・自分たちが日本人だということをこんなに意識したのは初めてだった。

世界選手権の開会パレードでは、被災地岩手から参加ということで旗手をさせていただいた。みなさんありがとう。

 

50日というほんの短い間に、大震災ではどん底の悲しみと、世界選手権では経験したことのない喜び、両方の涙があった。心が凍りつくような恐ろしい一瞬の自然災害に遭遇しても、踊ることで涙の色すら変わる、それを体験した世界選手権だった。

病気をしても、ダンスを踊りたい一心で何度も復帰してきた。ダンスの力はすばらしい。これからは復興にむかって笑顔でがんばろう。

この大震災も日本のダンサーたちによるダンスの力で復興することを心から信じている。

(ひよこ組http://www.hiyokogumi.net